相手の緊張を「解かない」ことで和らげる

相手の緊張を「解かない」ことで和らげる コミュニケーション

対人関係や職場での面談、会議など、相手が緊張している場面に遭遇することはありませんか?

多くの人が「緊張を緩和させよう」と焦り、かえって逆効果になることもあります。

本記事では、「緊張を解こうとしない」ことで相手の緊張を自然に和らげる方法を解説します。このアプローチは、カウンセリングや心理学の視点から生まれたものです。ぜひあなたのコミュニケーションに役立ててください。


緊張を「解こうとする」のは逆効果

「相手が緊張している」と感じたとき、多くの人がその場を和らげようと努力します。ジョークを言ったり、場を埋めるために言葉を重ねたり、リラックスするためのアドバイスを与えることもあるでしょう。

しかし、これらの行動は相手に「自分が緊張しているのを相手に気づかれている」と意識させ、余計に緊張を高める場合があります。

例えば、緊張している部下に「リラックスして!」と言っても、相手の心に響くとは限りません。むしろ、「緊張している自分が悪いのか」と自己否定につながる可能性があります。

緊張を受け入れるアプローチ

ここで重要なのが、「緊張を解こうとしない」という姿勢です。

心理カウンセラーの神田橋條治氏が著書『スクールカウンセラーの助言100』で提唱するアプローチが参考になります。

彼は、緊張している相手に「無理して打ち解けようとしなくていいよ。疲れるからね」と声をかけることで、相手に安心感を与えると述べています。

具体的には以下のような言葉を使うことが効果的です。

  • 「緊張してるね。それで大丈夫だよ。」
  • 「無理に緊張を解かなくていいよ。そのままでいいからね。」

このように、相手の緊張を否定せず受け入れることで、相手はプレッシャーから解放されます。

セラピューティック・ダブルバインドとは

このアプローチは心理療法の一手法である「セラピューティック・ダブルバインド」に基づいています。通常、ダブルバインドは否定的な効果を持つ場合が多いですが、治療的に使うと効果的です。

たとえば、「緊張してもいいし、しなくてもいい」という両方を受け入れるスタンスを示すことで、どちらの状態でも問題ないと相手に感じさせます。これにより、相手は自然に緊張が和らぐ可能性が高まります。

日常での活用例

  1. 部下や後輩との面談
    「今日は緊張している感じだね。それで全然大丈夫だよ。」と伝えることで、相手に安心感を与えます。
  2. 会議やプレゼンテーションの場
    「緊張するのは普通のことだよ。僕も緊張しているからお互いさま。」という共感の言葉が効果的です。
  3. 家庭や友人関係
    子どもが発表会の前に緊張している場合、「緊張していいんだよ。頑張らなくていいからね。」と伝えると、子どもは安心するでしょう。

まとめ

相手の緊張を解こうとすることは逆効果になる場合があります。むしろ、「緊張してもいい」と受け入れることで、相手に安心感を与えることが可能です。この方法は心理カウンセリングや心理療法で広く使われている効果的なアプローチです。

今回紹介した神田橋條治氏の『スクールカウンセラーの助言100』は、こうした具体的なアプローチや考え方が多数掲載されており、非常に参考になります。ぜひ本書を手に取って、あなたの対人コミュニケーション力を向上させてください。

行動を変えることで、あなた自身のコミュニケーションに大きな変化が訪れるはずです。今日から早速試してみてはいかがでしょうか?


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